1. HOME
  2. COLUMN
  3. COFFEE PEOPLE ~ vol. 11 サノ☆ユタカ × 田島一成 ~

2016.06.03 COFFEE PEOPLE ~ vol. 11 サノ☆ユタカ × 田島一成 ~

ロベルト。音楽。食べ物。

 

毎月、各界のゲストとコーヒーを入り口に様々なトークを繰り広げていくCOFFEE PEOPLE。第11回目はCMディレクターのサノ☆ユタカさんと、フォトグラファーの田島一成さんを迎えての『番外編・キューバ紀行』をお送りします。聞き手のTORIBA COFFEE代表、鳥羽伸博は今年の1月に、そしてサノ&田島の両氏は今年の4月に、それぞれキューバを訪れました。

島国独自の文化を育み、スペイン植民地時代やキューバ革命など、様々な出来事を経て今日を迎えたキューバは、アメリカとの国交正常化や中国からの資本投下などを受け、いま変革期にあります。

そんなキューバを訪れた彼らのリアルな観光滞在記を、COFFEE PEOPLEではもはやおなじみの飛び入りゲストを交えながら、4人でじっくりと語り合いました。ぜひお楽しみください。

(聞き手:鳥羽伸博(TORIBA COFFEE代表)。写真:赤木雄一。構成:内田正樹)

B_0017

——今日は番外編でキューバについてのお話をしていこうと。

サノ:あ、だからキューバアドバイザーが来たわけね。

(突然、スタイリスト長瀬哲郎さんが登場)

長瀬:いや、なんかさりげなくいようかなって(笑)。

——キューバの風を感じさせてくれるので。それにしてもサノさんのブログには感動しました。完璧でしたね。

サノ:え、なんで?(笑)。

田島:面白いもん。あのまとめ力はすごい。

——現地でコーディネーターを頼んだロベルトはどうでしたか?

サノ:紹介してくれる店が美味かった。ロベルトはスペインで板前やっていたんだってね。

田島:高校留学で。バルセロナで。その時に仕送りなしだったらしい。親から「学費と家賃は出すから、あとは自分でなんとかしろ」と言われて、皿洗いを1年、素材切って1年。だから料理が上手いらしいし、美味いものもちゃんとわかるんじゃない?

——彼はもともとカメラマンで、僕がお二人より先(今年1月)にキューバに行く時、ニューヨークの友達が紹介してくれたんです。ただ「ものすごいいい加減なヤツだけど」という注釈付きで(笑)。会ってみたら本当にユルいヤツで、初日からかなり馴染めたんですけど。

田島:ニューヨークで写真を撮って仕事をしていたんだけど、9.11の時に家の2軒隣がワールドトレードセンターだったらしく。

サノ:それでロスに出てしばらく撮っていたんだけど、要はそこでキューバ人の彼女ができて、キューバに行くようになって(笑)、で、結婚して、もう別れたらしいだけど、そのまま住みついちゃったらしい(笑)。

長瀬:なんか今度プロダクションを始めるらしいこと言っていましたよね。

——いい加減ですけど、あれくらいコーディネートできたらいいのかも。

サノ:俺ら着いたら、ちゃんと空港に迎えに来てくれたしね。でもあいつが手配した古いアメ車のタクシー、いわゆる白タク扱いだから、警察に追い出されて。でも新しいタクシーを呼んでくれて、空港で預けた荷物が出てくるまで1時間以上もかかったけど、ちゃんと待っていてくれたもんね。

田島:なんでそこまでしてくれたんだろう?

——ヒマなのかもしれない。

一同:(笑)。

——いや、わかんないんですけど「日本から人が来たぞ!」、みたいなのが楽しいんじゃないかなあと。でも途中から携帯のクレジット切れで連絡取れないというのは困りましたけどね。

サノ:そうそう、なんかプリペイド的なカードを買って携帯使っているから切れちゃうんだよね。それで連絡つかなくなっちゃう。

——僕は1週間ぐらいいましたけど、日本で当たり前のことが当たり前じゃないっていうのを早めに気付かないと、キューバではイライラさせられるんだなあと(笑)。現金はユーロを持っていきましたか?

サノ:持っていったんだけど、俺、以前にジャマイカで強盗に遭ったことがあって。だからみんなあんまり現金を持って行くのはよくないんじゃない?と思っていたんだけど、ジャマイカとキューバは全然違った。しかも5、6万(円)くらいの現金じゃ、すぐに足らなくなって。カードを使えないところも多くて、最後のほう中学生みたいになっちゃって。「お前、現金あと幾ら残ってる?」みたいな(笑)。

一同:(笑)。

サノ:俺、10年前とかに撮影でキューバに行った人の話を聞いていたんだけど、その頃はロベルトみたいな人っていないから、要はコーディネーターって役人なのよ。だからまずモデルを撮影したいと言うと、広告がない国だからモデルなんてものはほんとは存在しないわけ。で、館のベランダみたいなところにキレイな女の人たちが並べられて「ここから選んで」みたいな(笑)。で、選んで、ロケハンとかして夜になってご飯を食べて「遊びに行くところありますか?」って聞いたら「じゃあ」って連れていかされたところが、最初は気づかなかったんだけど目が慣れてきたら実は昼間のオーディションした館で、昼間に並べられていた子たちが立っていたという(笑)。

長瀬:お店といえば「トロピカーナ」(キューバの有名な屋外ナイトショーキャバレー)には行きました。

サノ:行った行った。

田島:面白かった。

サノ:あそこ、最後までいると客の国籍を「何人! 何人!」とか言いながらどんどんお客さんをステージに上げていっちゃうんだよ。で、一緒に行った照明部のヤツが呼ばれてもないのにステージ上がって踊っちゃって「ヤポーン?(日本人?)」とか言われたら、そいつ下を脱いじゃってさ(笑)。そしたらFBIみたいなのがどっと取り押さえに来ちゃって……。

一同:(笑)。

長瀬:え? モロ出し?

サノ:いやいやパンツだったんだけど、それでも黒服着たヤツらに連れていかれちゃって(笑)。結局全員外に出されて「わかってるよね?」みたいな(笑)。

田島:あれはちょっとヤバかった。でもあのステージはすごかったね。構造からして大木がばーんと使われていてさ。

——たしかにあれはすごい。屋外版シルク・ドゥ・ソレイユ的な作り込みで。

サノ:ところで、俺「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(キューバの国民的バンド)は全然ダメだったな。

——僕、そっちは行けなかったんですよ。タクシーが一晩中来なくて。

サノ:もっと歌や演奏で感動するのかと思ったら、全然グッとこなくて。

田島:まあ老人ホームの合唱団みたいなことだから。でも俺はまあまあよかったけどな。

サノ:ウソだね!ガンガン寝てたじゃん!

田島:ちょっとだけだよ(笑)。

一同(笑)。

サノ:俺が振り向いたら全員寝てんだよ(笑)。

田島:サノさんは寝ながら拍手だけはしていた。器用だよね(笑)。

サノ:結局日本に来日するようなヤツは本物のエース級なわけでさ。その日にステージに出るジジイが、いいジジイとは限らないわけよ。たぶんいいジジイも出るのかもしれないけど、“え?”みたいなのも結構いる。あれに感動してたの!?

田島:おばあちゃんはよかったじゃん?

サノ:ああ、おばあちゃんはよかった(笑)。

長瀬:前に神楽坂で能を観た時、舞台でだんだん後ろの太鼓の人の音がズレてくるジイちゃんがいて「あのじいちゃんヤバいんじゃないの?」と思って観ていたら、案の定、途中で引っこまされちゃって。

サノ:それもう事故じゃん(笑)。でも「ブエナ・ビスタ」も結構それに近いノリだった。老人会みたいなもんだよ。

——僕は街を歩いていたらキューバ人の夫婦に声かけられて「私のおじさん、昔大阪に住んでいてね」みたいな話が始まって(笑)。だいたいそういうパターンは、トルコとかだと絨毯を売りつけるんだけど、なんかいい人たちっぽいんですよ。そしたら「今日はブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのコンサートがある」と。で、「チケット買いに行くんだけど一緒に行かない?」って言われて。まあ、結論としてはキックバックがあるんですよね。

一同:ああ(笑)。

サノ:でっかいバスで来たドイツ人の何十人もの団体みたいなのも、オープンカーのタクシーに「ソシアル・クラブだけは観たほうがいいよ」みたいに言われていたみたい。あれもたぶんキックバックがあるんだよね。みんな同じシステムなんだね。

田島:社会主義だからね。

長瀬:それで食っているようなもんなんでしょうね。

サノ:またあの一周回ってくれるタクシーが安いんだよね。30ドルとかでさ。俺たち5人で乗って、そもそも普通に泊まっていたところから街に出るのだけで20ドルとかかかるはずなのに、一周一時間以上かけて回ってくれて、途中でお茶とかしても待っていてくれて「これは安すぎるな」と思ったけど、たぶんキックバックもらって成り立っているんだよ。

_MG_0311

——両替は空港でしておきましたか?

サノ:ロベルトが闇両替屋みたいのを呼んでくれた(笑)。「レートが全く違うよ」って。でも結局足りなくなって。日本出発の日に、照明部のヤツがビニール袋に世界中の通貨をすげえ持ってきていて。羽田でみんなして「お前バカじゃないの?」ってイジってたんだけど、結局「お前、あれあるだろ、早く出せ」となって(笑)。あれがなかったらもうアウトだった。

田島:本当にドルが使えない。持って行った意味が全くなかった。

サノ:昔はドルを欲しがったらしいよ。俺の仲のいい高校の同級生がメキシコで商社マンやっていたんだけど、休みになるとメキシコからキューバに行くと、外貨を欲しているからドルで何でもできたって。ホテルを出るたびに女の人がバーッと来て「うち来て、うち来て」みたいになって。女の子はホテルに入っちゃいけないんだよね。だから「うちに来い」と。15ドルで家に泊まれる、朝ご飯付きならあと3ドルみたいな。

田島:細かく刻むねえ(笑)。

——ほとんど民宿ですね。

サノ:しかもその15ドルにはその女の子が含まれているらしい。で、朝起きるとその子のお父さんが出てきて、父娘と一緒に3ドルの朝ご飯を食べるという。

——『トレインスポッティング』みたいだな(笑)。ところで食べ物はどうでしたか。

田島:すべてオーガニック。食べるものも全部放牧牛だったりとか、フリーケージだったりとか。タバコでさえ何も添加物が入ってない。社会主義の考え方だから、自分たちの国が作ったもので自分たち国民を毒するなんていうことは考えられないっていう考え方。逆に身体に悪いものを食べさせると国の医療費も増えちゃうからね。

長瀬:オーガニックって何ですか?ぐらいのね。

田島:彼らにはそれが普通だからね。

サノ:でも野菜がマズい。トマトとかすごいマズかった。イタリア人のロベルトが、ほら、イタリア人はトマト命だからさ、「ここのトマトは食えねえよ」みたいなことを言っていたな。

田島:農作物とかもその季節のものしか出回ってない。ハウス栽培とかないから、旬のものしか並ばない。

長瀬:それ、いまはいちばん贅沢に聞こえますね。昔はそれがイヤで贅沢になる為にいろいろとやっていったのに。

サノ:肉が美味かった。ラムとかすごく美味かった。

——タバコは買いましたか?

田島:安かったね。1箱1ドル。美味しかったよ。タバコの銘柄、“ポピュラー”か“ハリウッド”なんだよね。葉巻のカスで作ったみたいな感じで。

——でもなんかいいですね。

サノ:そういえばグァンタナモだっけ、基地があるところ。怖い政治犯がいるところあるじゃない? 右下の方の、テロリストとか送られるところ。あの周りがすごい波がいいらしいから、サーファーもこれからどんどん来るんじゃないかな。

ーー宿泊先の家で、朝食に寿司出てきませんでしたか?

 サノ:出なかった。

長瀬:僕たちは朝イチで。僕の貴重な、1日しかない朝ごはんは、セビーチェの握りとグァバジャムの巻き寿司でした。無理だっつうの(笑)。

田島:え、ジャイアン、1泊しかしなかったの?

——ほんとは2泊だったのに、飛行機乗り遅れちゃったんだよね。

 長瀬:乗り遅れちゃったんですよ(笑)。だからそもそもカンクンから45分で行けるはずだったのが、翌日メキシコ経由で6時間トランジットしてそこから2時間かかって、みたいな。

一同:(笑)。

長瀬:セビーチェ寿司に関しては俺、一口も食べなかったもん。

——僕は上だけ剥がして食べた(笑)。

長瀬:日本から来た日本人によく寿司出すなあと(笑)。

ーーいや、それ彼は良かれと思ってやっているんだよ。ロベルトから言われたんです。「この家のシェフは、前に日本食を作っていた。食べたいか?」って。「いやいや。せっかく来たんだしキューバのご飯が食べたい」って言ったら「でも『寿司も握れる』って言ってるぞ。明日の朝、寿司食べるか?」って言うから「いやいらない、いらないから」って言ったら「オッケー」って言ってあの寿司が出た。

一同:(笑)。

——結構キツかったなあ、あの寿司は。残すわけにもいかないし。すごい見てるんですよ、食べている僕たちを。

長瀬:見てたよね!(笑)。

——「美味しい」って言わざるを得ないじゃないですか。

長瀬:中華料理を作るのが上手そうなルックスのやつだったのにね。

——陳健一みたいな。

長瀬:そうそうそう(笑)。

サノ:それってキューバに日本食屋があるっていうこと?

——どうなんでしょうね。日本人の女の人がひとりでやっているお弁当屋さんみたいなのは、街を歩いていたらありましたけど。

サノ:食べたの? 味はどうだったの?

——なんか普通でした。日本人の女の人が作っているから、まあ日本ぽいけど。「ぜひ行きましょう!」とは言わないかなあ。

一同:(笑)。

 

クルマ。ジャマイカ。これからのキューバ

0_MG_0272

ーー僕は滞在中にレンタカーを運転したんですけど、中国車を薦められたのを頑なに断って、プジョーを借りてトリニーダという街に行ったら、ガソリンスタンドがどこにあるかわからなくて。

田島:トリニーダって、すごく遠いんじゃないの?

ーー遠いんですよ。しかも道に穴の空いている高速をひたすら走るんです。で、ようやくガソリンスタンドを見つけたらみんながガソリン入れているのに、変なおばさんが出て来て「ここにはガソリンない」と言う。で、「こっちに来い」って言われて路地のほうまで運転して行ったら、明らかな犯罪者顔のヤツがじょうごみたいなやつでガソリン入れていて。しかもものすごいこぼしながら。

一同:(笑)。

サノ:それ、値段は?

ーーまた高いんですよ。でも、そこからちょっと街に出て行ったら、結局ガソリンスタンドが普通にあった(笑)。

サノ:そこでは入れられたの?

ーー入れられました。しかも満タンに入れたら犯罪者顔の半分以下の値段で(笑)。もうチーチ&チョンの映画のオープニングみたいな感じ(笑)。

長瀬:チーチ&チョンといえば、この間、えらくハイウエストのネルシャツでヘアバンドした店員がいて、「君、チーチ&チョンみたいだね」って言ったら「え、ほんとですか!?」って喜んでいて。わかってないんです(笑)で、検索したらしくて「ちょっとヒドくないですか!?」って(笑)。

一同:(爆笑)。

長瀬:あと、ある芸者さんに「君、宮史郎に似ているね」って言ったら、あとで「若い子にそういうことを言わないで、本当にオチちるから」って怒られた。実は本人が検索してオチたくせに。(笑)

サノ:俺らは男5人で行ったもんだから、人数が半端でタクシー1台に乗れないの。それもあってどんどん大事な現金が飛んでくの。しかもちょっとずつぼったくられるもんだから。

田島:ロベルトは俺たちのタクシー代を必死にねぎっていたよね。「高すぎる。そんなに払っちゃいかん!」とか言って。でもサノさんはすぐ払っちゃうの。

サノ:面倒くさいんだもん。でもそれがボディブローのように後から効いてきて(笑)。

田島:でもキューバはガソリン安いのかね。普通の古い車ばっかり走っていてさ。

ーーたしかベネズエラからもらっているんじゃなかったかな。でも安くなかったらおかしいですよね。

サノ:キューバのタクシードライバーはみんな車を持っている金持ちに雇われているんだよね。

長瀬:みんなが車を持つようになったら大渋滞になっちゃいますもんね。ロシアみたいに。

ーーすごくいいコンディションの50年代のアメ車があるって聞いていたけど、実際に行ってみるといいコンディションのものは全然なかった。どう見てもアメ車なのにハンドルやエンジンがヒュンダイの車とかあって。

一同:(笑)。

田島:たしか国民の平均月収が20ドルぐらいなんでしょ?

サノ:ロベルトも結婚して、海辺のいいところのマンションの2フロアを借りていたけど、家賃がいくらだっけ? 1万5千円とか?

ーーそれじゃ毎日ヒマつぶしに日本人に会いに来ますよね(笑)。そこまでがむしゃらに働かなくていいんだから。

田島:平均月収20ドルで、俺たちがタクシー1回乗って20ドルだから、観光相手のビジネスは割と儲かっているのかもね(笑)。でももうすぐマイアミから船が来るんだって。4時間かけて。アメリカ人がバーっと来て、今の20倍の観光客の数になるってさ。そしたらすべてが様変わりするだろうね。

長瀬:でもそうなっても、キューバの金持ちはキューバの中だけの金持ちですね。外資にしてみたらそんなにたいしたことはないだろうから。

ーーそれより物価自体が変わっちゃったら、20ドルじゃ暮らせなくなるんでしょう。

長瀬:そうすると犯罪も増えるだろうし。

田島:治安はめちゃくちゃ良かったよね。

ーーいいですよね。夜中歩いても何の問題もないですもん。

田島:ちょっとゲットーっぽいところでも別に平気だったしね。

サノ:夜中でも若い子が普通に歩いていたもんな。

田島:あとキューバの人ってそこまでいい加減でもなかった。メキシコとかジャマイカに比べたらさ。

サノ:「お金くれ」みたいな人もそんなに来ないしね。

ーーサノさんはCMの撮影でジャマイカによく行かれていますよね。

サノ:3回、4回かな。

ーー僕も行きましたけど、あの国のいい加減さは予想通りのいい加減さですよね(笑)。越えることもないし減ることもないっていうぐらいの。

サノ:前に、どうしても海辺に建っている掘っ立て小屋みたいな一軒家に住んでいる人を撮りたかったのね。なんかそういう設定のCMでさ。それで『クール・ランニング』とか観ていたから、コーディネーターを3週間ぐらい動かして探したんだけど、いいところがなくてさ。それで飛行機からモンティゴベイに降りようとしたら、飛行場の横にちょうどいい掘っ建て小屋が見えてさ。なんかおばさんが住んでいたんだけど「まあ、いいわよ」みたいになって、その時に男もいたんだけど、二人に先払いでお金払って。撮影の本番にあらためて行ったら今度は違う男がいるわけ(笑)。「こないだ奥さんに許可もらったんだけど」と言ったら「俺も旦那だ、俺にも金払え」みたいになって(笑)。結局それで撮ったんだけど、撮り終わって後でよくよく聞いたら、そこが『クール・ランニング』のプロップ(小道具)だったの。

一同(笑)。

サノ:つまり映画の為に建てたプロップの小屋に、そのおばさんが勝手に住み込んじゃっただけで。その男っていうのもただそのおばさんとヤっちゃってる男なだけで、誰ひとりとして持ち主じゃなかったんだよね。

一同:(笑)。

ーーとてもジャマイカっぽい(笑)。ジャマイカってコーヒーはやっぱり白人が仕切っているんです。それで、以前、丘の上のすごい邸宅に呼ばれて、3代ぐらい続いている農園主と食事をして、農園を見て回ったんですよ。で、「どこの農園がいいと思う?」って言うから、「あの丘の上のあそこのところ」と言ったら、「じゃあ君のために、特別にあそこのコーヒーを日本に送ってあげるよ」と。「でも僕はそんなに量は買わないよ?」「あそこはそんなに量が獲れないから。少ない量で構わないよ」「じゃあオッケー」というわけで握手して、「ジャマイカで欲しいもの何かあるか」って言うから、「網シャツが欲しい」って言ったら、「お前はリアルジャマイカンだな」って。

サノ:網シャツ!(笑)。

ーー「何着欲しいんだ?」って言うから、「じゃあ、10枚ぐらい」って言ったら「オーケー」って。「お金払うよ」「いらない」「いやいや払うから」「オッケー」「じゃあ一応100ドル渡しとく」って言ったら、「こんなにいらない」と。「じゃあおつりをくれればいよ」と言ったら、「わかった。じゃあおつりとともに明日うちの者に渡す」と。で、次の日に出向いたら、網シャツが20枚ぐらいバーンと用意してあって。「で、おつりは?」って訊いたら「ごめん、まだ預かってないから後で渡す」と言われて、結局おつりももらえなければ、次のシーズンにコーヒーだって一粒も来ませんでしたね。

一同:(笑)。

ーーボブ・マーリーミュージアムに行ったら「ノー・ウーマン・ノー・クライ」に出てくるジョージがいるっていうから「マジで!?」と盛り上がったら「ノブ、さすがだな。今までのコーヒー・ピープルでそんなことを言うリアルジャマイカンのヤツはひとりもいなかった」なんて言うから。まあそりゃそうだろうなと。ちょっと嬉しいんですよね、やっぱり。

一同:(笑)。

ーーで、「ジョージに会いたい」って言ったら「ノー・プロブレム」って言われて。行ったら庭のところでハッパ吸ってるボロッボロのじいさんがいるんですよ。「ノブ。彼がジョージだ」「マジで!?」って(笑)。せっかくだから写真を撮ろうと思って、「フォトグラフ、オッケー?」って訊いたら「マニー、オーケー?」って言われて(笑)。

一同:(爆笑)。

ーーでもすぐそこにすごい勢いでむき出しのハッパが置いてあって、手にはお金を握っていて。片付けて写真撮った。(笑)

長瀬:キューバがそうなっちゃったらイヤだねえ(笑)。

田島:タバコ吸っている人いなかった、道で。タバコ安いのに。あと「くれ」って言われなかったのも初めてかもしれない。どこの国に行っても言われるからね。

サノ:最近はリアーナが来てアニー・リーボヴィッツが撮ったらしいね。

鳥羽:そうなんですか。ストーンズのフリーライブ(※3/25。ハバナ市内のスポーツ競技場で開催)も盛り上がったんでしょうね。

サノ:120万人。

一同:驚く

ーーワン・ポイント・ツー・ミリオン・ピープル!

サノ:意味わかんない数だよね。え?って聞き返したもん。

ーーロンドンのハイドパーク(※69年)公演で30万人ぐらいでしょ。あの時は後ろのほう絶対に音届いていなかったはずですもんね。120万人って、音、後ろまで届くんですかね?

田島:しかしアメリカのやり方もすごいよね。

——次はU2がやるらしいですね。

サノ:でもカーステとかUSBだったじゃん。

——そうだ、ボロボロの車でカーステにUSBですもんね。

 サノ:タクシーの運転手が車を降りるとリモコンみたいなのを持って歩いて。薄くてペコってマグネットか何かで付くようになっていた。

——盗難防止ですよね。僕、イギリスに行った時そうでしたよ。

田島:ヨーロッパはみんなそう。カーステ盗まれるから(笑)。操作パネルだけ外すっていう。

——そのアイデアもすごいですよね。

サノ:USBだからどっかでダウンロードしてるんだろうけど、聴いている音楽がちょっと古いの。ダフトパンクが100回ぐらいかかってんの(笑)。

田島:公園のWi-Fi広場がすごかった。本当にネットのインフラがないから、そういうところでしかインターネットができないの。

——情報が溢れすぎていないのがいいですよね。求めようとする気持ちはその公園に集まるわけで。僕たちはいま当たり前に情報が溢れているから、つまんないっちゃつまんない。情報あるヤツが勝ちみたいな感じだし。音楽だって、どこのお店行ったって演奏している音楽は一緒ですもんね。ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの1曲目から3曲目みたいな(笑)。日本でどっかのバー行ったら「荒城の月」がずっとかかっているようなもんですけど。

田島:ポルトガルの音楽もやっていたね。ボサノバとか、どさくさで(笑)。バーとか行くとDJもいた。DVDでDJしていたね。ディスプレイを使って。

——じゃあそれも多分YouTubeか何かのダウンロードなんでしょうね。

 長瀬:イベントはこれからもっと増えていくんだろうね。

サノ:もうすぐベライゾン(※アメリカの携帯通信会社)が入るんだって。まだ電波がないからネットが全く通じないんだけど、電波ないから。そうすると一気にいろんなもんが入ってきちゃうだろうね。

長瀬:ホテルもね。

 ——滞在時にネットはどうしていたんですか?

田島:俺はパケット通信で。

 ——請求きました?

田島:まだかな。でもたまにしか繋がなかったしね。

長瀬:むやみに繋げちゃったら金額ヤバいんですよね。俺、ノブくん(鳥羽)との通話で4回ぐらい繋げただけで6万ぐらい取られた。

一同:えぇーっ!?

長瀬:違うんですよ、俺、その前にニュージーランドにいたんですけど、いきなり見たことのないメッセージが入ってきたんですよ。「重要なお知らせがあります。このお知らせを明日の12時までに戻してくれないと携帯を一時的に止めます」みたいなのが。で、電話してみたら「長瀬様、パケット通信の電話の通話料を、明日一度止めさせていただきます。お支払いいただければ繋げますけど」「いくらですか?」「64万円です」「えっ!? 1日で!?」みたいな。

一同:なんで!?

長瀬:それがYouTubeで『とんぼ』を1時間観ちゃったんですよねえ……。

一同:(爆笑)

——バカだなぁ……。

長瀬:でもパケット通信対象のネットワークに接続したって書いてあったし、「それはおかしい」みたいな話をワーッとしたら「じゃあもう一度計算します……6200円です」って。

一同:(爆笑)

——たしかにパケットってわかりにくいよね。

長瀬:『とんぼ』1時間で60万円。「すげえ!」って(笑)。

サノ:つうか『とんぼ』観るなよ!(笑)。

長瀬:『とんぼ』がアップされるの、めずらしいんですよ。それで、まるまる1話分見ちゃったんですよ。「兄貴!!」って。

——結構感動するんだよね。仙道敦子がいいよね。

長瀬:うん(笑)。

——さて、キューバ、みなさんはまた行きたいですか?

田島:行きたいね。次はもっと田舎に行きたいね。

サノ:うん。

——いいですね。あとコーヒー畑も行きたい。

サノ:そりゃそうだよね。

——でも「車で行きたい」って言ったら、ロベルトに「車はやめたほうがいい」ってすごい勢いで言われた。

サノ:言われた言われた(笑)。

——だから「じゃあ飛行機で」って言ったら、「俺は人生最後の日だとしてもあの飛行機には乗りたくない」とか言うし。

サノ:渓谷のあたりを馬で回ったりするのがすごくいいらしいよ。

田島:『ジュラシックワールド』みたいな(笑)。

——じゃあ次はぜひこのみんなで。

 

——————————————————————————————————————

 

(プロフィール)

サノ☆ユタカ……1966年東京都生まれ。CMディレクター。キユーピーハーフのCMをはじめ独自の音楽観と映像センスで演出する。北野 武出演のポカリスエットのCMではドバイ、ブラジル、ペルー、ボリビア、アイスランド、インドネシアなど世界各地でロケを敢行している。現在、honeyeecom.Comにてブログを更新中。ラーメン大好き。

 

田島一成……1968年東京都生まれ。フォトグラファー。パリ、ニューヨークでの10年間の活動を経て2002年より東京を拠点に活動。主な仕事に『Harper’s BAZAAR』、『Numéro TOKYO』、『VOUGE JAPAN』などのファッション誌、POCARI SWEAT、キユーピー、資生堂、UNIQLOなどの広告、CM、坂本龍一等、様々なアーティストとのワークスがある。www.mildinc.com。

——————————————————————————————————————

 

関連記事